昨年12月、令和4年度の税制改正大綱が公表されました。
不動産関係で目立ったのは住宅ローン控除の改正です。
これは以前から噂されていた通り、
従前:住宅ローンの年末残高の1%を所得税(および住民税)から税額控除
改正後:住宅ローンの年末残高の0.7%を所得税(および住民税)から税額控除
という改正です。
たとえば、3,000万円の住宅ローンを組む場合、年末残高が3,000万円だとすれば、
1%控除と0.7%控除を比較すると、
30万円控除→21万円控除(差引9万円増税)
これが10年~13年間続きますから、
住宅ローン3,000万円の場合、10年間で60万円以上の増税になります。
住宅ローンについては、最近の都市銀行やネット銀行だと
かなり低金利で借入が行えます。
一方、住宅ローン控除が年末残高の1%税額控除だと、
「金利の返済より控除できる(≒返ってくる)金額が大きい」現象が起こります。
いわゆる”逆ザヤ”状態です。
こうした現象を無くすため、今回の増税措置となったようです。
しかし、世間では
“給与所得者が住宅ローン控除を使うと税金が返ってくる”
という優遇制度のイメージがありますので、
単純に優遇幅が減ってしまっただけ、という感覚です。
住まい給付金(※)も終了してしまいましたから、
全体的に、住宅購入の締め付け感があります。
※消費税がかかる住宅購入をローン購入する場合、最大50万円をもらえる制度
都内の地価高騰を受けた反動措置、という側面もあるものの、
地方都市の我々にはあまり関係ありません。
給与が上がっているどころか、コロナの影響でノー残業になったりと、
手取りが減っている家庭も多いです。
郊外のハウスメーカーや建売住宅業者の方々は
苦々しい思いをしているかもしれませんね。
さて、昨年に話題に上げた“暦年贈与制度の廃止”ですが、
今年は先送りされた模様です。
年間110万円の贈与までは贈与税が非課税、という現行制度については、
節税対策に使われやすいため、見直しが検討されています。
国税庁の税制改正大綱には特に記述が無いのですが、
自民党の税制改正大綱に、以下のように記されています。

ということで、引き続き改正の方向で検討されている模様です。
数年内に、110万円基礎控除は廃止されるかもしれません。
暦年贈与は110万円贈与だけではなく、
310万円贈与、510万円贈与など低税率贈与にも使えます。
孫を含めた複数人贈与で大きな効果を発揮しますから、
相続税率が高い方は、早めに形を考えて贈与しておくのがよいでしょう。