東京オリンピックが閉会してしまった昨今。
世界的にコロナウィルスは猛威を振るっていますが、
そんな一方で、
実は、世界的な不動産ブームが起きているそうです。
6月29日に発表された全米の住宅価格の指標となるS&Pコアロジック・ケース・シラー指数(今年4月時点)は、前年同月比14.6%上昇し、過去30年あまりで最大の伸びとなった。昨年10月以降、上昇率が平均で10%を超えており、今年3月時点の米国の住宅価格の水準は、前回の住宅バブルのピークだった2006年4月を16.8%も上回っている。
https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fuji-kazuhiko/281.html
住宅ローン金利が10回以上も史上最低を更新したことに加え、コロナ禍を機に在宅勤務が増え、都市部から郊外へ移り住む人が増加したことで住宅ブームに火が付いた形である。米国の木材価格がこの1年で6倍に高騰したことも、住宅価格の急上昇に拍車をかけた。材料不足に加え、資材を運ぶトラック運転手をはじめ労働力不足が顕著であることから、「米国の住宅市場は『ハイパー・インフレ』に見舞われている」との叫び声が聞こえてくる(6月24日付ブルームバーグ)。
アメリカは不動産バブルですね。
6月3日に発表された不動産仲介会社ナイト・フランクの世界住宅価格指数レポートによれば、今年3月までの1年間に住宅価格は平均で7.3%上昇し、コロナ禍で住宅市場が突出して好調ぶりを示していることがわかる。国別に見ると、トルコの32%上昇がトップ、続いてニュージーランド(22.1%上昇)が続き、米国は5位(13.2%)となっている。
アメリカのみならず、全世界的な不動産バブルと言ってよさそうです。
筆者は5年前、松堀不動産を退職。
都内に転職して、少し前に東松山に出戻りしました。
東松山に戻ってきて驚いたのは、少し地価が上がったこと。
確かに、都内の不動産市場は高騰するばかりです。
中央区・千代田区・港区等は、過去5年で2割以上の価格上昇。
その他の23区で1~2割くらい上昇していて、
埼玉は浦和・川口あたりなら1割は上昇。川越も同じくらい。
都心を中心として、不動産の価格上昇は同心円的に広がっています。
人口が集中し人気があるところは、地価が上がっている。
その一方、郊外ではまったく逆の現象が起きています。
当然、人口減少社会ですから、田舎に行けば高齢化・人口流出。
残酷なほど地価は低下しており、
「金額に関係なく、タダでも売れない住宅街」が存在します。
そんな現実を見て、このあたりも今後は厳しいな、と思いながら
都内へ転職した平成28年頃。
戻ってきてみたら、意外にも、
東松山市も、周辺の路線も、地価は底堅い状況。
なんなら需要に対して売却物件の供給が少ないせいか、
中古戸建の取引価格も少し上がりました。
「地価上昇!」とはお世辞にも言えませんが、
都心の価格上昇の波が、ほんの少し、さざ波だけ、
東松山にも届いているようです。
繰り返しますが、相変わらず郊外・田舎は厳しいです。
昨今、テレワーク化が進んだ影響から、
田舎への回帰が喧伝されています。
ついては「〇〇町が盛り上がっているんじゃないの?」と聞かれたりもします。
(〇〇には思いついた町名を入れてください)
現場の実感としては、
世間のイメージほど盛り上がってないな、とは思います。
東武東上線だと、東松山までが
地価上昇の波動を感じるギリギリのラインとも思えます。
そこから先は、良くて平行線。
だいたいは需要減少かつ価格減少、
という状況のようにも思えます。
人口減少社会ですから、当たり前なのです。
尚、この手の話は“まだら模様”です。
人口が増加している市町村でも、
特定の駅や、特定の地域のみ価格上昇。
それ以外の郊外は、総じて需要が減少している、
なんてこともあります。
市町村や、沿線の枠組みだけでは括れないのですね。
さて、土地・戸建のみならず、
特にマンション市場は価格上昇が顕著です。
東松山でも、4~5年前までは
2000万円くらいだったものが、
年数落ちした現在で、2200~2500万円くらい、と
取引価格が上がっているところもあります。
マンション、というものは、
不動産業者からすると物件として取り扱いやすいです。
駅から近いことも多いですし、インターネットから情報が取得しやすい。
「販売するために作られた物件」ですから、
売れない、ということも考えにくい。
駅から近い物件が多いので、案内がしやすいということもあります。
そんなわけで、大宮・浦和の不動産業者、
あるいは都内の不動産業者でも、
東松山のマンションを取り扱っていることがあります。
ある程度の資本力があるので、
査定サイトやダイレクトメールなどを駆使して、
所有者の問い合わせを集めているようです。
そんな事情も含みつつ、
都内のマンション高騰、売り物件の枯渇、
都心不動産業者の地方進出、等々を絡めて、
マンションの価格上昇は続いてきました。
ところで、マンション高騰のきっかけのひとつは、
実は東京オリンピックだったりします。
東京オリンピック開催を契機に、
箱モノをたくさん作るため建設業者に発注が集中。
また、晴海ふ頭に「晴海フラッグ」という
オリンピック村のためのマンション群が建設されました。
これらのために、建設業者が多忙となり資材も枯渇。
結果として建築単価が上昇しました。
そして、
建築単価が上昇
↓
新築マンションが価格上昇
↓
中古マンションに人が集中
↓
中古マンションの価格が上昇
というサイクルがおこり、全体としてマンション価格が上昇したわけです。
最近はコロナの影響(と反動的な補助金による財政支出)のせいで、
実体経済がどうなのか、不透明になっています。
外食産業・旅行産業は相当大変でしょう。
オリンピックが終わって補助金が枯渇してくると、
一気に厳しくなってくるかもしれません。
「オリンピックが終わったら景気が悪くなる」と
考える人は、一定数存在します。
先述の「晴海フラッグ」ですが、
オリンピックが終了した後、分譲マンションとして市場に放出されます。
戸数は4000戸超。
5000~10000万円と幅広い価格帯ですが、
直近での分譲価格帯は5000~6000万円くらい。
最近の価格高騰からすると、安いのです。

交通はそんなによろしくないですが、これくらいの価格帯なら売れそうです。
戸数が戸数ですから、マンション市場に与える影響は大きいでしょう。
世界中が不動産バブルである以上、
市場の見通しは楽観的に思えます。
インフレ率2%が達しないならば、2023年まで土地購入資金は潤沢に流れ続け、その2年後までの建設期間を経て、2025年まで価格は値上がりする確率が最も高くなっている。
https://president.jp/articles/-/48129
前回の地価下落は2007年頃のリーマンショックでした。
目に見えて金融市場が悪化し、景気が悪化し、地価も低下しました。
今回は全世界的なコロナショックと、対称的な不動産バブル。
先が読みづらい感じはしますが、
やはり会社員の収入は特段増えていないわけで、
実体経済とは乖離しているとも思います。
ここ数ヶ月の地価情勢・景気動向は注視したいところです。